我ら魔術師 ― イケムラレイコと優秀な生徒たち

Faces II, watercolor on paper, 21 x 15 cm © Leiko Ikemura 2008. Photo: J. v. Bruchhausen

出展作家:Sabine Banovic, Fritz Bornstück, Mariechen Danz, Lea Gilloire, Lennard Grau, イケムラレイコ, Rona Kobel, Kevin Kopacka, Robert Lanz, Elke Markhöfer, Helena Peterson, Christian Pilz, Achim Riethmann, Zurab Sheqelashvili, Michael Wutz

 

イケムラレイコは現在最も重要な美術作家のひとりであり、その重要性は国際的に認められています。かの有名なビエンナーレや名の通った美術館・芸術機関での展覧会プロジェクトに、すでに1980年代から主要メンバーとして参加してきました。彼女の作品を所蔵する主な美術館はポンピドゥー・センターやバーゼル美術館、クンストパラスト美術館(デュッセルドルフ)、東京国立近代美術館が挙げられます。また、イケムラレイコは20年以上ベルリン美術大学で教授を務めました。彼女が過去に指導した優秀な学生のなかから選抜されたメンバーとともに、この10月、彼女の展覧会プロジェクトがハンブルクへとやってきます。彼女が自らキュレーションを行ったグループ展「Wir Magier(我ら魔術師)」では、イケムラの作品とともにかつての彼女の教え子たちの作品が展示されます。   

イケムラレイコの作品には伝統的な西洋美術にもとづく部分と日本文化にもとづくかたちの表現が同居しています。非対称であいまいなものとたわむれるような作品では密かさや変化といった観点が強調されています。ファンタジーの世界からやってきたような彼女のモチーフはイマジネーションの力が生み出したものです。作品は常に理性的なコントロールと直感的な思いつきの両極を行き来しています。そのような緊張感あふれる関係性は無限の空間やユートピア的な風景、イマジネーションあふれる人物像を生み出し、魔術的なオーラをまといます。

「魔術的なもの」は14人の出展作家の作品でも中心的なテーマとなっており、作品どうしを結びつける役目を果たしています。展覧会タイトル「我ら魔術師」はある種の所信表明でもあります。対象・モチーフ・かたちは消えゆき変化し、その解体してゆくプロセスのなかに全く新しいものが生み出され、魔術的な雰囲気と秘密に満ちたオーラを作り出すことで、常にイマジネーションの源泉が指し示されます。

同じように「我ら魔術師」が示すのは参加作家の役割でもあります。当展覧会はまさしく「我ら魔術師」の名にふさわしいものとなっていますが、彼ら美術作家たちはひょっとしたら本当に当代の魔術師なのでしょうか? クリエイティブな創造力で絵画世界を作り出し、その場の雰囲気を操作してしまうのですから。観るものの感情をゆさぶり、ある意味で魔術にかけてしまいます。日常的な素材やなんということのない事物は新しい価値を獲得し、まるでそこから不可思議な自らの生を発展させていくかのようです。事実に基づいて説明しつくそうとする科学に魔術が対抗しようとするように、芸術の本質と意味もひとつには定義できないものなのですから。

出典:www.evelyndrewes.de/wirmagier.html

 

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